内容証明郵便
- 行政書士伊藤寿規

- 2019年2月9日
- 読了時間: 4分
更新日:2019年9月19日
最近「内容証明郵便って、なんなの?」「どんな時に使うの?」というご質問をよく頂きます。
内容証明郵便は、①誰が、②誰宛に、③いつ、④どんな内容の手紙を出したのか、を郵便局が公的に証明してくれる郵便です。
お金の貸し借りをした際など、相手が自分に対して約束通りの返済をしなかった時に「こちら側からはきちんと請求をしたのだ」という証明のために使用するのが主ですが、商品の売買や下請負契約などで代金を支払って貰えなかったとき等も同様です。また、最近は悪徳商法などに対して契約の解除や取り消しの意思を伝えたり、クーリングオフをする時にも使われます。
内容証明郵便は3枚複写(全て同じ内容)で作成し、1通は差出人、1通は郵便局が保管し、もう1通を相手に送達してくれます。
これにより相手に「“この内容の”手紙を送った」という事実を証明する事ができます。
通常はこれに『配達証明』を付けて使用します。そうすることにより、⑤相手が手紙を受け取ったこと、⑥相手がいつ手紙を受け取ったのか、までを証明することができます。
これにより「私は間違いなく催促した」「間違いなく契約を解除すると意思表示をした」等という事実を証明できるわけです。
内容証明郵便は“その手紙に記載されていること(こちら側の主張)が正しい”という事までは保証してくれませんし、法的な拘束力はありません。あくまで「きちんと私の言い分を相手に伝えた」という事実を証明するのみですが、お金の貸し借りの時であれば「絶対に返して欲しい!」、契約解除の申し出であれば「絶対に解約します!」という、こちら側の固い意志表示を相手に伝える、つまり“本気度”を相手に伝えることができるのです。
内容証明郵便用の3枚複写の用紙は文房具屋さんで売っていますし、またパソコンで作成しても3枚プリントアウトすれば事足ります。
ではなぜ、お金を払ってまで行政書士に依頼する方が非常に多いのでしょうか?
これは“本気の本気”を相手に明確に伝えるためなのだと私は思っています。
内容証明郵便を作成する時、最後の一文として「尚、本状到着後〇日以内に履行なき場合は法的措置を取らせて頂きます」なんて常套句を入れるのが常なのですが、この文章の下に記載した差出人住所・氏名の更に下に「文書作成人 〇〇○○行政書士」と記載があり、法律職としての身分を記した四角い『職印』が押してあると、手紙を受け取った側はどう感じるでしょう。
そもそも返済や支払い、契約の履行などを遅延する人は、『いち個人』が書いた内容証明郵便の中の「法的措置を...」との一文を「あいつに何ができる?よくあるただの脅し文句だろ」と鼻で笑い無視する、もしくは連絡はしてきたが今までとなんら変わらない言い訳をするだけで全く話が進まない、なんてケースが非常に多いそうです。ですが、プロが作成した文書であることが分かると「法律家にまで依頼しているのだからただの脅し文句ではない。このままだと本当に“法的措置”とやらを取られてしまう」との心理的圧迫を受けます。
これ、いままで散々無視してきた相手、または真剣に対峙せずに放っておいた相手『いち個人』が自分で書いた手紙を受け取るのと比べると、その精神的プレッシャーの度合いは格段に違うようです。
内容証明郵便にて“本気度”を伝えた結果返済をしてくれた、約束を履行してくれた、という例は少なくありませんが、それでも履行なき場合は裁判所へ申し出るしかありません。正直、時間も お金も更に掛かります。当たり前ですが“これ一発で”解決するに越したことはありません。
また、これはご自分で書こうがプロに頼もうが一緒なのですが、内容証明郵便を出しても効果が出なければ、速やかに、本当に法的措置へ移行しなければ解決は望めないでしょう。
(正直、当職が書いたとしても“これ一発で”解決するのを保証するものではありませんので、あしからずご了承ください)
自分で書いた内容証明郵便で自分の本気度を伝えるだけで解決へ繋がるのか、それとも“本気の本気”を伝えた上で、あらかじめその後の措置までも視野に入れておくべきなのか...
迷ったらまずは一度ご相談ください。







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