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消費賃貸借契約書(1)

  • 執筆者の写真: 行政書士伊藤寿規
    行政書士伊藤寿規
  • 2019年2月6日
  • 読了時間: 4分

お金を借りる時に書くもの、署名し捺印するもの。簡単に言えばそれだけですよね。

銀行などの金融機関やローン・クレジット会社でお金を借りる時には当然に業者側が用意して、借りる側は指示に従い署名・捺印をするだけです。

某ギャンブル漫画で「“10分3割複利”の条件を見ずに署名・捺印し1千万円の融資を受け、利息を含め大金を取られる」なんて話がありましたが、これは非現実的だとしても契約時には金利等の条件だけはきちんと確認して署名・捺印しましょう。


信頼のおける金融機関で融資を受ける場合には契約上のトラブルはそう心配ないと思うのですが、問題は個人間のお金の貸し借り。これ、非常にご相談を受けることが多いのです。

友達にお金を貸したが返してくれない、分割で返済してくれる約束で親戚にお金を貸したのだが最初の数回のみで返済がストップしている、脱サラして事業を始めた同僚に頼まれてお金を貸したのだが相手は「あれは投資だ」と言い張り返してくれない、先輩に返済を迫りたいのだが関係を壊したくない...

実にお金にまつわる相談事は数にいとまがありません。


大前提としては、お金を貸す時は必ず借用書を作成しておくことです。最初から必要な条項が全て記載されている書式を使用するのがベストですが、ご自分で作成した借用書でも日付や金額、返済期日等が記載され署名・捺印があればそれが証拠となります。

ただこれ「そんな事は最初からから分かっている!」とのお叱りの声が聞こえてきそうです。

問題は証書のない“口約束”での貸し借りの場合ですよね。


結論から申し上げると「相手にお金を借りている事を認めさせ、新たに借用書を作成する」ことです。その書面に基づいて新たに返済の期日・方法を定め履行させる、これが一番かと思います。それでも約束を守ってくれない場合は更なる法的措置という事になりますが、一旦きちんと書面にしたためると返済に対する義務感が口約束の時よりも上がり、返済してくれる確率が上がったという実例が多々あります(あくまで過去の実例であり、一般論ですが)。

宣伝になってしまいますが、これがプロが作成した借用書だと相手への精神的プレッシャーは格段に上がります。法的に必要な条項を網羅しているのは無論の事「法律家にまで依頼したということは本気で返済を迫ってきているんだな」と相手に認識させることが出来るからかと思います。

さて、相手が「私はあなたからお金なんて借りていません」と言い出したらどうでしょう?

う~ん、困りましたね。この場合はまず相手に「お金を借りている事実」を認めさせることから始める以外に方法がありません。

まずはお金を貸してから現時点までの経緯を時系列でまとめましょう。

相手はどんな理由でお金を貸してくれと言って来たのか、あなたはそのお金をどのように捻出したのか(自分の口座から出したのであればその日付が貸し付けた日付と一致、もしくは近接していれば尚よい)、いつ、どのようにして貸したのか(現金手渡しか、振込か)、当初約束した返済期日及び方法は...

出来るだけお金を貸した時の具体的な状況を書面にまとめ、再度相手に「お金を借りている事実」を認めるよう迫りましょう。

尚、それでも相手がお金を借りている事実を認めようとしないのであれば、これはもう法的手段しかありません。

金60万円までならば簡易裁判所の『少額請求訴訟』に臨むことが出来ます。

これ、その日のうちに審理・審判がおりる簡易迅速な訴訟なのですが、それでも“裁判は裁判”。

審理する人にこちら側の主張が正しいとの心証を与えるために、第三者が客観的に見ても納得して貰えるような書面を前述の通り作成し、証拠になると思われる物があればそれも添えて提出しましょう。相手の口座へお金を振り込んだ時の振込票は無論の事、現金手渡しの場合でも貸したお金を自分の銀行口座から降ろした時の通帳のコピーなどがあれば、根拠としては薄いけれども証拠として認められる場合もあります。


『友達や知人にお金を貸す時は、返ってこないものだと思って貸せ』

よく聞かれる言葉ですよね。私も親にこう教わり育ってきました。でも「絶対に返すから貸してくれ」「助けると思って貸して欲しい、約束は必ず守るから」なんて言われて貸したら、やっぱり返して欲しいのも人情です。

当事務所では「貸したお金を返して欲しいんだけど、どう返済を迫ったらいいんだろう」の段階からご相談に応じます。

お気軽にお声掛けください。


さて次項では「返済を切り出しにくい」「返済を迫ることにより関係が壊れるのを避けたいのだがどうすればいいのか」等の問題に触れてみたいと思います。

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