消費賃貸借契約書(2)
- 行政書士伊藤寿規

- 2019年2月8日
- 読了時間: 3分
先輩や友人、交際相手などにお金を貸した際、なかなか返済して欲しいと言い出せないことってありますよね。
「最初から貸さなければいい」
確かに正論かも知れませんが、やむにやまれぬ状況で、しかも絶対に返してくれると言われて貸した、そんな場合もあるかと思います。
この場合に皆さんが考えることは
①関係を壊したくない
②でも、お金は返して貰いたい
この二つかと思います。
これはあくまで私個人の考えですが、両方を得るのは極めて難しいかと思います。確かに「あの時は本当に助かったよ、ありがとう」と気持ちよく返済してくれることもあるでしょう。ですがそれはむしろ稀なケースかと...
現実的には①と②を秤にかけどちらを優先するか。これが一般的かと思います。
①の場合なら、お金が返って来ないことを前提にやんわりと返済を迫るしかなさそうです。もし返して貰えたらラッキー、そんなふうに考えて。
②のお金を返して貰うことを優先するのであれば、前回の記事のような段取りを踏み返済を迫りましょう。
ただ、やみくもに「金返せ!」と言うだけでは相手の心証を害してしまうかも知れません。
皆さん“借金”というものにどんなイメージを抱いていますか?
映画やドラマで強面の取り立て屋が債務者に大声を上げて返済を迫り債務者がひたすら謝っているようなシーン、一度や二度は見たことがあるかと思います。
ですが現実の個人間のお金の貸し借りでは、『借りた側』より『貸した側』の方が立場が弱いのです。
「え?そんなことはないだろう。『貸した側』の方が圧倒的に優位なはずだろう?」と皆さん思われたかも知れませんが、どうしても返して欲しい、そのお金が返って来ないと困る『貸した側』に対し、『借りた側』は「返したいのはやまやまだがお金がない」と言って昨日までとなんら変わらない日常を今日も明日も送れるのです。
最悪の場合『貸した側』が資金繰りに行き詰まり倒産や破産、『借りた側』は今までと同じ生活。そんなことだってあり得るのです。
相手が困っているのを見るに見かねてお金を貸してあげたあなたに「下手(したで)に出ろ」と言っている訳ではありませんが、返済を切り出す際には、必ず返してくれるという約束だったのだから返して欲しい、自分もそのお金が返ってくる事を前提に他にお金を使う算段をしているのだから返して欲しい、貸した当時は自分にも余裕があったが今はそのお金を必要としている等々、まずは返済を迫らざるを得ない自分の苦しい胸の内を明かしつつ返済を迫るのが相手の態度を硬直させない方法かと思います。
その上で前回の記事内容のような段取りへ移行しましょう。
話が振り出しに戻るようですが、やはり良好な人間関係を維持するためにはお金の貸し借りは極力避けるべきであり、もし貸すのだとしたら最後には上記の①と②どちらを優先するのかを自分の中で決めた上で貸す、それ以外に方法はなさそうです。
無論、きちんとした借用書を用意した上で、ですが。
恋人同士、友達、親戚、etc... 特に関係を大切にしたい間柄であればあるほど、いざ返済を迫る時にはこちらが心苦しい、もしくは嫌な気分になるケースが少なくないことをお忘れなく。
「ご利用は計画的に」なんてキャッチフレーズがありますが、むしろ『お金を貸す時は慎重に』を心掛けることが人間関係を“お金で”壊さない秘訣かも知れません。






